2018.4.17

オーダーされなかったらこの世に無かった器。

Vol.4

  • 4皿目のイカのリゾットでございます。

  • イカのリゾットの上にイカのソテーがのっています。この黒いパラパラしたものは「蘇」というもので、飛鳥時代にあったチーズの原型なんですよ。牛乳を限界まで煮詰めて固形にして、すりおろしたもの。それをイカスミと合わせています。イカと絡めてお召し上がりください。美味しいですよ。

  • 舌にのせるととろける感じで、美味しいです。

  • この器はナイフとフォークが使いやすいサイズで、かつ小さい器が欲しかったんですよ。白でオーダーしたんですが、微妙に白じゃないところがすごくカッコイイですよね。

  • 確かにベージュっぽいです。いつもどうやってつくっているんですか?

  • お話いただいてから考え始めます。色をどうしようかなとか、何回かテストを重ねながら。

  • オーダーしてからなかなか届かなかったですよね。ある時、突然写真だけ送られてきて、それから2ヶ月音信不通とか。

  • 笑。

  • テストはよかったけど、実際焼いてみると気泡ができたりすることがあるんですよ。そうすると、また一から薬を変えなければいけなかったりして。

  • そんなに大変なんですね。ちなみに、この器らしさみたいなものってあるんでしょうか?

  • 大量生産の磁器のような白くテカテカする釉薬ではなく、ちょっとマットでヌメっとしているような質感を狙いました。

  • 確かにマットな感じです。器に隠されたストーリーを知れると嬉しいですね。

  • 失礼します。5皿目はサワラのロースト ベアルネーズソース 菜の花のソテーです。

  • このお皿もすごいですね! 3枚が重なってる。シャレてるなぁ。

  • 真ん中のソースをつけて召し上がってください。

  • 美味しい! ソースに酸味があって、それがまたサワラとすごく合います。

  • それにしても、このうつわ、超かっこよくないですか?

  • これだってオーダーされなかったらつくってないですよ。

  • あはは!

  • いやね、このお皿をオーダーしたのには理由があるんですよ。昔、うちにいたスタッフが何度注意しても、まっすぐお皿を重ねないんです。だから、最初からズラしてやる!ということで(笑)って。

  • 面白い!

  • なかなかこのコンセプトは思いつかないですよね。

  • ———これは、どのようにしてつくるのですか?

  • 実際に一枚ずつ別々にお皿をつくって、一枚ずつ釉薬を掛け、器の間に釉薬を厚くのせて、重ねて焼くんです。

  • ———本当に3枚重ねてつくっているのですね。

  • 試作では、間に釉薬を入れていなかったので、使っているときに外れちゃったんですよね?

  • そうそう、洗浄機に入れたらお皿がバラバラになっちゃったんですよ。

  • あとは重さですね。普通に重ねると重くなりすぎちゃうので、ある程度薄くはしているんですけど、それでも重い。しかも、あまり薄くしちゃうと焼成中に重力で外側が落ちてきちゃうんで、その辺の加減が難しかったですね。

  • 6皿目は、松阪ポークとしいたけ、ヘーゼルナッツのパウダーです。

  • 嬉しい、お肉ですね!

  • プルプルですね。

  • うん、とても美味しいです。語彙力がなくて“美味しい”しかいえないのが恥ずかしいんですけれど。

  • 笑。

  • 初めて食べるものばかりだから、変に例えると陳腐になっちゃいそうだし、食レポ下手ですみません。

  • いえいえ、お上手です。

  • 失礼します。デザートもお持ちしました。カカオのサバイヨンとキャラメルのアイスクリームです。

  • あ、これはアスマートでみた器だ。おしゃれだなぁ。これはドライのイチゴもまざってるんですか?

  • はい。フレッシュなイチゴとドライイチゴのチップです。なかにはジャムになる寸前まで煮込んだあたたかいイチゴが入っています。

  • 凝ってますね。すごいアーティスティックです。盛り付けもいいですね。

  • 酒粕のチップも美味しいです。

  • 食べるところによって味が変わって飽きません。この器もろくろでつくっているんですか?

  • そうです。土の塊をろくろの上に置いて、まずは平に広げ、そこから縁を立ち上げて形を整えて、ある程度乾燥させたら裏を削って白化粧を塗り、飛鉋というこの模様をつけてから焼きます。

  • 複雑な工程があるんですね。アスマートで買えるんですよね? この器、買おうかな。

  • これは、何にでも合ってめちゃくちゃいいですよ。

  • 器を買うときには、同じ器を複数枚一緒に買ったほうがいいんですか? それともひとつひとつ違うものを集めたほうがいいですか?

  • 昔は5枚セットで、というような考え方もありましたが、最近は1枚ずつ違うのを買うというような買い方をする人が多くなりました。家で使うぶんには色が違っても問題ないですから、いいなって思ったものを1枚ずつ選ぶのがオススメです。

  • それなりのお値段もするし、それを聞いて安心しました。買って、友達が来たときに自慢しよう!

  • いやいや、僕こそ平岡さんが使ってくれてるって自慢しますよ!

  • 笑。

  • ———さて、今日は器とお料理を堪能してもいただきましたが、どうでしたか?

  • 実際に器のつくり手である森山さんにお話を聞きながら贅沢な時間を過ごしました。器と料理を体験した!っていう感じです。お料理ももちろん美味しかったですし、器の奥深い世界にもう一歩足を踏み入れることができました。

  • 今日は、最初から最後まで全ての器が森山さんのものだったので、すごく統一感がありあしたね。

  • 自分がつくったものに素晴らしい料理を盛っていただいて、嬉しかったです。
    いろんなお話も聞けました。それでもやっぱり「本当に僕の器かな?」っていう信じられない部分もまだちょっとあります。

  • 笑。

(つづく)

大橋直誉
大橋直誉
1983年生まれ。レストラン「TIRPSE」オーナー。世界最速でミシュラン獲得。
レストラン運営の傍ら、イベントのディレクションや食に関わるクリエイターとの「共創」も手掛ける今話題のフードキュレーター。
小関裕太/俳優
森山寛二郎
1984年生まれ。佐賀大学文化教育学部美術・工芸過程卒業。小石原焼を代表する新進気鋭の若手陶芸家。
父・元實氏に陶芸を師事し小石原の伝統を生かしつつ、最近ではアート作品も手がける。第45回記念朝日陶芸展グランプリ受賞。
小関裕太/俳優
平岡祐太
1984年生まれ。第15回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストでグランプリを受賞し彗星の如く芸能界デビュー。
映画『SWINT GIRLS』にて、第28回日本アカデミー賞 新人俳優賞を受賞。映画、ドラマに幅広く活躍する俳優。
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